建築士の種類と違い┃できることって何か違うの?

建築士の種類と違いについて確認します。
そして、それぞれの建築士の棲み分けの違いについて確認していきます。

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建築士と一言でまとめることができますが、実はその中にも種類が存在しています。
実は、家づくりにおいて構造・大きさによって担当できる建築士に制限があります。
目標とする構造・大きさではどのような建築士が関与されることになるのか、参考にしてみてください。

2022年4月時点における情報です。

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建築士の種類

建築士の種類は大きく分けて3種類細かく分けると5種類ある。

まず、3種類は以下の通りである。

  1. 一級建築士
  2. 二級建築士
  3. 木造建築士

この3種類は建築士法における”定義”にて定められている。

建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)

第二条 この法律で「建築士」とは、一級建築士、二級建築士及び木造建築士をいう。

建築士法 第二条 第1項を引用
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建築士法によれば、一級建築士、二級建築士と木造建築士は全て「建築士」なのですが、実務をしている中では一級建築士のみを呼称していることが多いですね。

残りの2種類は、一級建築士による派生であり、専門的な位置づけのものとなっている。

  1. 構造設計一級建築士
  2. 設備設計一級建築士

建築士法などで「建築士」として定義されているわけではないが、建築士法にて「建築士」として定義されている一級建築士の派生であるので、「建築士」と呼んで問題ない。

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この2つはそれぞれ構造・設備のプロです。
一級建築士も建築のプロなので、プロ中のプロということになります。

一級建築士・二級建築士・木造建築士ができることの違い

建築士が対象として仕事ができる建築物の範囲は、建築士法という法律により定められている

それぞれの建築士においてできることの違いについて、その根拠とともに示していく。

  1. 一級建築士
  2. 二級建築士
  3. 木造建築士
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説明性の観点から、建築士法の該当条文を全て示したうえで、個別に説明していきます。

建築士法の該当条文

根拠を明示する観点で示しているだけなので、次章まで読み飛ばして構いません。

建築士が対象として仕事ができる建築物の範囲について、建築士法で記載されている条文は以下のとおりである。

建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)

第三条 左の各号に掲げる建築物(建築基準法第八十五条第一項又は第二項に規定する応急仮設建築物を除く。以下この章中同様とする。)を新築する場合においては、一級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。
 学校、病院、劇場、映画館、観覧場、公会堂、集会場(オーデイトリアムを有しないものを除く。)又は百貨店の用途に供する建築物で、延べ面積が五百平方メートルをこえるもの
 木造の建築物又は建築物の部分で、高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの
 鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、瓦造、コンクリートブロツク造若しくは無筋コンクリート造の建築物又は建築物の部分で、延べ面積が三百平方メートル、高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルをこえるもの
 延べ面積が千平方メートルをこえ、且つ、階数が二以上の建築物
 建築物を増築し、改築し、又は建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をする場合においては、当該増築、改築、修繕又は模様替に係る部分を新築するものとみなして前項の規定を適用する。法律で「建築士」とは、一級建築士、二級建築士及び木造建築士をいう。

第三条の二 前条第一項各号に掲げる建築物以外の建築物で、次の各号に掲げるものを新築する場合においては、一級建築士又は二級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。
 前条第一項第三号に掲げる構造の建築物又は建築物の部分で、延べ面積が三十平方メートルを超えるもの
 延べ面積が百平方メートル(木造の建築物にあつては、三百平方メートル)を超え、又は階数が三以上の建築物
 前条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
 都道府県は、土地の状況により必要と認める場合においては、第一項の規定にかかわらず、条例で、区域又は建築物の用途を限り、同項各号に規定する延べ面積(木造の建築物に係るものを除く。)を別に定めることができる。

第三条の三 前条第一項第二号に掲げる建築物以外の木造の建築物で、延べ面積が百平方メートルを超えるものを新築する場合においては、一級建築士、二級建築士又は木造建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。
 第三条第二項及び前条第三項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第三項中「同項各号に規定する延べ面積(木造の建築物に係るものを除く。)」とあるのは、「次条第一項に規定する延べ面積」と読み替えるものとする。

建築士法 第三条~第三条の三を引用

一級建築士

建築士法では、一級建築士でなければできない設計又は工事監理として、建築士法 第三条~第三条の三にその範囲を記載している。

長いので、簡単にまとめるとー。
一級建築士は全ての構造・規模・用途の建築物について、設計・工事監理を行うことが出来る、ということである。

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一級建築士はどんなに凄い住宅でも建てられます!

二級建築士

建築士法では、二級建築士でなければできない設計又は工事監理として、建築士法 第三条の二~第三条の三にその範囲を記載している。

こちらも簡単にまとめるとー。
二級建築士は比較的小規模な建築物についてのみ、設計・工事監理を行うことが出来る、ということである。

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その範囲については、木造建築士の紹介のあとに分かりやすい図を載せますので、そちらを参照ください。

木造建築士

建築士法では、木造建築士でなければできない設計又は工事監理として、建築士法 第三条の三にその範囲を記載している。

こちらも簡単にまとめるとー。
木造建築士はより小規模な木造の建築物についてのみ、設計・工事監理を行うことが出来る、ということである。

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”木造”建築士なので、構造は木造に限られてしまいますね。

一級建築士・二級建築士・木造建築士の業務範囲

業務範囲を具体的に図示したものが以下の図である。

平均的な住宅が約30~40坪(約99~132㎡)と言われていることを踏まえれば、以下に示す住宅形式では、構造・規模に応じた建築士の関与が必要となる。

  • 木造ー平屋・2階建て(99㎡~100㎡) → だれでもできる
  • 木造ー平屋・2階建て(100㎡~132㎡) → 一級建築士、二級建築士、木造建築士
  • 木造以外ー平屋・2階建て(99㎡~132㎡) → 一級建築士、二級建築士

※誤解を招かないように、上記に補足をします。

「だれでもできる」とは、自身の責任の下に実施する場合に限ります。
建築士法では、”「設計」とはその者の責任において設計図書を作成すること”となっており、間取り図だけではなく、構造やその他の法適合も含めて無資格の状態で実施することは危険です。

構造設計一級建築士と設備設計一級建築士ができることの違い

構造設計一級建築士と設備設計一級建築士は一級建築士の上位資格である。
構造設計または設備設計のエキスパートとして、大規模な建築物には必要不可欠となっている。
その仕事の範囲は、建築士法という法律により定められている。

できることの違いについて、その根拠とともに示していく。

  1. 構造設計一級建築士
  2. 設備設計一級建築士
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説明性の観点から、建築士法の該当条文を全て示したうえで、個別に説明していきます。

建築士法の該当条文

根拠を明示する観点で示しているだけなので、次章まで読み飛ばして構いません。

構造設計一級建築士と設備設計一級建築士が対象として仕事ができる建築物の範囲について、建築士法で記載されている条文は以下のとおりである。

建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)

第二十条の二 構造設計一級建築士は、第三条第一項に規定する建築物のうち建築基準法第二十条第一項第一号又は第二号に掲げる建築物に該当するものの構造設計を行つた場合においては、前条第一項の規定によるほか、その構造設計図書に構造設計一級建築士である旨の表示をしなければならない。構造設計図書の一部を変更した場合も同様とする。
 構造設計一級建築士以外の一級建築士は、前項の建築物の構造設計を行つた場合においては、国土交通省令で定めるところにより、構造設計一級建築士に当該構造設計に係る建築物が建築基準法第二十条(第一項第一号又は第二号に係る部分に限る。)の規定及びこれに基づく命令の規定(以下「構造関係規定」という。)に適合するかどうかの確認を求めなければならない。構造設計図書の一部を変更した場合も同様とする。
 構造設計一級建築士は、前項の規定により確認を求められた場合において、当該建築物が構造関係規定に適合することを確認したとき又は適合することを確認できないときは、当該構造設計図書にその旨を記載するとともに、構造設計一級建築士である旨の表示をして記名しなければならない。
 構造設計一級建築士は、第二項の規定により確認を求めた一級建築士から請求があつたときは、構造設計一級建築士証を提示しなければならない。

第二十条の三 設備設計一級建築士は、階数が三以上で床面積の合計が五千平方メートルを超える建築物の設備設計を行つた場合においては、第二十条第一項の規定によるほか、その設備設計図書に設備設計一級建築士である旨の表示をしなければならない。設備設計図書の一部を変更した場合も同様とする。
 設備設計一級建築士以外の一級建築士は、前項の建築物の設備設計を行つた場合においては、国土交通省令で定めるところにより、設備設計一級建築士に当該設備設計に係る建築物が建築基準法第二十八条第三項、第二十八条の二第三号(換気設備に係る部分に限る。)、第三十二条から第三十四条まで、第三十五条(消火栓、スプリンクラー、貯水槽その他の消火設備、排煙設備及び非常用の照明装置に係る部分に限る。)及び第三十六条(消火設備、避雷設備及び給水、排水その他の配管設備の設置及び構造並びに煙突及び昇降機の構造に係る部分に限る。)の規定並びにこれらに基づく命令の規定(以下「設備関係規定」という。)に適合するかどうかの確認を求めなければならない。設備設計図書の一部を変更した場合も同様とする。
 設備設計一級建築士は、前項の規定により確認を求められた場合において、当該建築物が設備関係規定に適合することを確認したとき又は適合することを確認できないときは、当該設備設計図書にその旨を記載するとともに、設備設計一級建築士である旨の表示をして記名しなければならない。
 設備設計一級建築士は、第二項の規定により確認を求めた一級建築士から請求があつたときは、設備設計一級建築士証を提示しなければならない。

建築士法 第二十条の二~第二十条の三を引用

構造設計一級建築士

建築士法および建築基準法では、構造設計一級建築士による設計への関与が義務づけられる建築物として、以下の建築物が建築士法二十の二で指定されている。
ただし、図書省略認定を受けた建築物や型式適合認定を受けた建築物は対象とはならない。

  • 高さ60m超の建築物
  • 高さ60m以下の建築物で次に該当するもの
    • 木造の建築物(高さ13m超又は軒高9m超)
    • 鉄筋コンクリート造の建築物(高さ20m超)
    • 鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物(高さ20m超)
    • 鉄骨造の建築物(4階建て以上、高さ13m超又は軒高9m超)
    • 組構造の建築物(4階建て以上)
    • 補強コンクリートブロック造の建築物(4階建て以上)
    • 柱間隔が一定以上ある建築物や耐力壁が少ない建築物等これらの建築物に準ずるものとして国土交通大臣が指定したもの(平成19年国土交通省告示第593号に位置づけているもの)等
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個人住宅の建築においては対象となる例があまりないと思いますので、法適合のために担当者としてお会いする例は少ないと思います。
しかし、個人として取得している方がたまたま構造設計一級建築士を持っているということはあるともいますので、そのときは「あ、構造のプロだ」と安心できると思います。

設備設計一級建築士

建築士法では、設備設計一級建築士による設計への関与が義務づけられる建築物として、建築士法二十の三で以下の建築物が指定されている。

  • 階数が3以上、かつ、床面積が5,000超となる建築物
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こちらも、個人住宅の建築においては対象となる例があまりないかと思います。
しかし、個人として取得している方がたまたま設備設計一級建築士を持っているということはあるともいますので、そのときは「あ、設備のプロだ」と安心できると思います。

まとめ

建築士の種類と違いを確認し、それぞれの建築士の対象建築物を確認したまとめ。

  • 建築士は、一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類が存在している。
  • 一級建築士にはさらに専門的派生が2種類あり、それぞれ構造設計一級建築士、設備設計一級建築士である。
  • それぞれの建築士には設計・工事監理をできる建築物の範囲が定められており、建築物が大きく・複雑になるほど、より高度な専門性をもつ建築士の関与が求められている。
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一般的なサイズとされる住宅サイズでも建築士の関与が必要となる場合が多いので、お手元に図面があれば是非ともチェックしてみてください。

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